2009年10月30日

賃貸住宅の「更新料」は無効になるのか!? #2

先日、相次いで無効の判決が出された更新料裁判ですが、最高裁の判決を待たずに新たな大阪地裁の判決が出ました。業界では大きなトピックなのですが、前回ほどの注目の高さはない!?感じがするのは気のせいでしょうか。。

さて、この手の話では結論から入るのは誤解を生みそうなので、簡単にケーススタディしてみましょう。

・平成12年12月、滋賀県野洲市のマンションに月5万2千円の家賃で入居。
・2年更新の2か月分更新料で、計3回、26万円の更新料を支払った。
・3回の更新のうち、1回は半額にしてもらった。
こんなところでしょうか。

以下は筆者の推定になります。
・滋賀はおそらく更新料の慣習は比較的、少ない地域であろう。
・33歳という入居者の現在年齢と平成12年の入居から考えて、おそらく初めての賃貸借であろう。
・半額にしてもらった時に、相場に比べ明らかに高い契約であったことに初めて気づいた?
これらは、裁判においては是非とも考慮すべき内容だと思います。

さて、判決は更新料は「有効」!
理由@、礼金より金額が抑えられており適正
理由A、更新料は、礼金と同様、返還を前提としない「賃借権の対価」に当たる
理由B、月当たり5千円未満と低く、契約条項の押しつけとは認められない



全般的な印象としては、こんなことを書いてはなんですが、裁判官は不動産についての研究が不十分である可能性が高いと思われました。

これは、私自身の経験でもあるのですが、初めて不動産賃貸借契約をする賃借人(借りる人)は、何百回と契約をしている賃貸人(貸す人)に比べて、明らかに契約上不利な立場に立っています。大人同士が合意しているのだから問題ない、とまで冷たい事は言えません。

何しろ、今や不動産鑑定士として、したり顔で講釈述べる私も、最初に賃貸物件に入る時には、恥ずかしながら何も分からなかったのです。不動産屋にそうだ、と言われればその通り払うというのに近い契約態度であったことを、今でも記憶しています。

契約する時は、大抵の場合、敷金、礼金、仲介手数料、家賃の前払い、引っ越し代金、住居変更や各種の手続き、家具家電の購入、その他諸々のことの一部として、忙しい仕事の合間に契約をすることになります。鍵の交換代金さえ払わされるのです。

そんな忙しい合間に、「ちょろっ」と、契約更新の際にはどうのこうのと説明されるのが、この問題になっている更新料なんですが、正直そんなもんは訳が分からず、資格を持っている正規の業者であれば、「法律どおり正しくやってくれるだろう」ぐらいに期待する程度が、正直いって市場の実態だと思います。

ところが、実際には根拠などなくて、月額賃料の変形であり、言ってみれば目くらましなわけですね。私は随分前から賃貸物件には入っていないので、家主に対する恨みも何も、こだわりもないのですが、この慣習に関しては疑問になることがよくあります。

また、更新に際しては「更新事務手数料」なんてものも取られます。既に審査も終了していて、以前作った契約書をもう一度印刷して、判子をもらうだけの作業なのですが、これが結構高い。数万円も報酬を取ります。ま、本件に当てはめれば、更新月は、家賃、諸経費込で、ざっと20万円弱程度は払わされていたんでしょうね。

最初入居者の審査をしたり、入居準備に多少のクリーニングなどはあることから、すぐに出られては困るという意味で、いろいろなデポジットが取られるのは若干の合理性があるとしても、2年が経過して、おつりみたいな契約期間が到来してからも、契約に縛りを与えようとするのは少々経済合理性に欠けるのではないか?3年も一か所にいれば、引っ越す可能性は当然にあるでしょうに。。

そういう経済実態に着目すると、私は裁判官ではありませんが、理由の@もBも、??という感じです。

裁判官として、律と公平を考え、行動するのであれば、もっと何のためのお金なのか、経済実態に合っているのかなど理想を高くして、社会の未来を見据えながら判断すべきではないか?



理由Aについても、旧法借地権の権利金や更新料と、性格を混同しているようで、気になる発言です。定期借家ではないんだし、再び賃借権を獲得するために対価を払う?よく分かりません。ちなみに不随意の立退きを考えるときに計算される借家権とも全然別の議論です。

ちょっと熱くなりすぎていますが、要は今後は契約内容をもっとシンプルに改めないと、ただでさえ大変な新生活に余計な計算上の負担を与えてしまうであろうということなのです。

ちょっと大家さんに攻撃的な感じの内容になってしまった感がありますが、私の立場は鑑定士として常にニュートラルなもの(であるはず)です。こちらのブログは大家さんでも、私と近い感覚の方がおられて、大変うれしく感じています。
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