2009年08月27日

賃貸住宅の「更新料」は無効になるのか!?

不動産業界においては、大きな話題です。
地方裁判所、高等裁判所、ともに無効の判決が出されました。最高裁判所でも同じ判決が出るのか?家主側は最高裁に上告するらしいので、今後の行方が注目されます。
(※この記事には10/29投稿の続編があります。そちらもぜひご覧下さい。)

   
そも、「更新料」とは?
賃貸マンション、賃貸アパートなどを借りている人は経験があると思いますが、
「賃貸借契約終了時に、契約更新を認めるかわりとして、家賃の1〜2カ月分の支払を求められるもの」をいいます。

根拠条文はありません。ただの慣習です。不動産業界にはただの慣習がかなり多いです。でも、慣習とはいえ、不動産賃貸契約書には、「更新料」支払いを義務付けた特約条項があるので、一般の人は「払わな、あかんのやろな…」となるわけです。
みんなそうしてますから、と言われると、普通は反論できませんよね。

   
今回、大阪高等裁判所では、

@入居者と家主とは情報量に大きな格差がある。(つまり、借主は不動産に明らかに無知で、何を言われても良く分からない、ということだと思われる)

A入居者は契約時に、更新料を義務付けた取引条件とほかの条件を自由に比較できず、対等な立場で検討ができない。(@と同じような話かな)

B入居者の利益を一方的に害しており、不平等な取引で、消費者契約法に照らし無効だ。

と指摘しています。

   
今回の高等裁判所判決の前に、今年の7月23日に本件裁判が京都地方裁判所でも行われ、

@更新料は更新後に実際にマンションを使用した期間の長さにかかわらず、支払わなければならず、使用期間の対価である賃料の一部とはいえない。
→更新料の必要性に合理的根拠がない。
(2年分の更新料を払って、一年で出てしまったら、半分は返してもらえないよ、ということ)

A入居者が契約書で特約の存在を知っていても、その趣旨を明確に説明し、合意を得ない限り、利益を一方的に害することになる。
→消費者契約法上、特約そのものが無効だ。
(もっとよく説明をして、なんのためのお金なのか、説明する必要がある、という感じかな?)

と指摘されています。

   
更新料の実態は?

関東地方や京都などでは、半数以上の家主が更新料をもらっている。
大阪、兵庫では一般に更新料が払われることはないらしい。
(2007年 国土交通省調査 とのこと)

   
今後について

@裁判そのものの、直接的な影響として、今後はまず返還請求が増加することが見込まれます。金銭的に困窮している人が増加するなか、訴訟の流れは強まるでしょう。

Aただし、今回のケースを詳しく見ると、一年更新、かつ賃料の2か月分、と水準から見て、かなり極端なケースと考えられます。2年に一回、1か月分の条件まで否定されてしまうのか、については、未だグレーな部分が残ります。@の訴訟が、どこまで判例を積み上げられるか、ですね。

B不動産業者の間で、リスク回避を重視する業者は今後の混乱を防ぐために、契約内容を変更する動きがでるかもしれません。このニュースと関連して、明朗会計をアピールする機会かも。

C不動産鑑定評価は?
一時的には、今まで収益算入していた更新料が、今後は計上されないことを前提とせざるを得ない(特に最高裁判決後)であろうから、収益価格の下落が見込まれます。ただし、次の書いたような理由で、長期的にはもとに戻るでしょう。

   
更新料の正体は

普通のマンション、アパートに話を絞りますと、結局は、他の物件より少しでも安く見せようとする、不動産業者間の苛烈な競争の産物といえます。

つまり、敷金、礼金、更新料その他の名目をどんどん増やして、月頭の賃料を抑えてきたのです。礼金2か月として、2年契約なら、賃料6万円と記載されていても、本当は6万円×2÷24か月で、5千円が月あたりの礼金となり、ひと月の賃料は6万5千円なのです。

@礼金なしで、月6万5千円

A礼金2か月で、月6万円

同じじゃないですか!とすぐに計算できる人の割合が少ない限り、Aで表示しておかないと、損、ということになってしまいますよね!

長く住めば、礼金方式のほうが得なんじゃないの?
更新料が安かったり、無かったりすれば、確かにそうかもしれませんね。
(かも、です。厳密にはもっといろいろと考えなければならない要素があるので…)

こうして複雑怪奇になってきた、不動産賃料、今少しだけメスを入れられているということなのでしょう。でも礼金も更新料もなくなってしまえば、誰も使わなくなってしまえば、結局無益な競争も無くなる訳で、それらを合計した純粋な賃料(需要と供給で決まる)はそれはそれで適正な水準に落ち着くのでしょう。

家主は苦境に立たされている、という意見もありますが、結局は賃料の取り方が分かり易くなるだけ、というのが話の真相であるならば、家主の皆さんはここで過剰に反応する必要はないのでは?と、私は思います。今までもらってきたものを、返せっていうのはキツイですけどね。。
この記事へのコメント
ご紹介有難うございます。

いま、物件余りで空室率に困っている大家さんは多くて、地方だと人自体が減ることもあり、みんな大変です。
利回りで言っても、昨今(まで)の不動産投資ブームの影響で利回りが低下しています。

まぁ、自己責任といえばそれまでなんでしょうけど、甘い話に乗せられた家主さんは大変です。

賃料の値上げなども、いまの市場を鑑みたときたった数千円といえども値上げは厳しいかと思います。(まぁ、それしかないのですが…)

ただ、おっしゃるように、
=========
不動産業者の間で、リスク回避を重視する業者は今後の混乱を防ぐために、契約内容を変更する動きがでるかもしれません。このニュースと関連して、明朗会計をアピールする機会かも。
=========
はその通りですね。

好況も不況も商売の種。
公務員以外はみんな知恵と工夫で自ら稼がないといけないわけですから、がんばってビジネスチャンスにして欲しいものです。






Posted by toriumi at 2009年08月29日 00:47
コメントありがとうございます。
おっしゃるように、不動産投資者の視点では、今後どうしたらよいのかパニックになる気持ちもあるでしょうね。。
Posted by sasaki at 2009年08月29日 15:48
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Tracked: 2009-08-29 00:41