2009年08月21日

相続評価における、評価減狙いの崖地評価の例


資産家の方の相続税対策として、不動産鑑定評価が活用されることがあります。
例えば、都市部に所有している土地が崖状の部分を多く含むのに、相続税路線価が高く、税務での崖地評価手法(基本的に決められた係数を掛ける仕組みになっている)では、それなりの地価が算出されてしまうような場合です。

そこで、「不動産鑑定士に相談」となる訳ですが、ここで注意が必要です。
今回の依頼者の依頼目的は
@基本的に相続税評価額を下げるのが目的
A方法論として、崖地は有効利用度が低いことを理由に、時価を低く算出して欲しい
   というものになるはずです。

しかし、上記のような条件では、基本的には難しい状況になることが予測されます。当然、崖地の程度にもよりますが、都市部で、「相続税路線価が高い」ということは、暗に宅地需要が強い地域であることを示しています。その場合、宅地の需要者は、崖を擁壁で補強し、平坦な構造へと造り替えてしまう、というのが基本的な最有効使用の考え方、及び需要者の行動になるはずです。

鑑定評価における基本的な考え方を示すと、
「 転換後・造成後の更地価格 − 造成費用  = 崖地価格 」
という関係性が成り立つことになります。相続税路線価が高いということは、周囲は宅地化が相当程度進行しているでしょうから、宅地見込地としての熟成度修正(宅地地域として、いろいろな意味で中途半端さが残る地域では、その未成熟な分の修正を行う)は要らない可能性が高いです。

このような考え方で評価した崖地の価格が、税務計算による崖地評価を下回る可能性は、やってみなければ分かりませんが、おそらく低いでしょう。

このようなケースでは、何十万円もかかる鑑定評価書の作成まで一気に行かずに、
@完成宅地の評価
A造成シミュレーション
の2つを行って、期間調整を行い、一度数値上で確認してみることが良いでしょう。
十万円前後の費用で予測計算を行うことは、十分に意味があると思います。

安易に減価を行った鑑定評価書を携えて、税務申告に向かうことは、危険を伴っている場合があり、また不動産鑑定士の社会的責務の面から考えて、モラルの面からも問題があると思います。

 
posted by RON at 12:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続かんけい
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